当店がギターの試奏動画(音源)をお断りする理由

購入をご検討頂いているギターの、動画や音声を提供して欲しいとおっしゃるお客様は多いです。

私も情報収集に余念がないタイプですから、そのお気持ちは十分に理解しておりますし、それがお客様の不安を解消する一助になることも十分に承知致しております。

しかし、当店ではギターの動画や音声の提供をお断りさせて頂いております。

なぜお断りしているのか、そのかわりに何を提供できるのか、この場を借りて説明させてください。


【1】ギターの多面性

1本のギターから引き出せる音色は、極めて多彩で表情豊かです。柔らかく優しく響かせることも、メリハリの効いた力強い音を出すこともでき、その中にも無限のグラデーションが存在します。さらに、弾き手が変われば音も変わります。

動画や音声に収められる内容に偽りはないかもしれませんが、わずかな一面を切り取ることしかできません。それだけではギターのキャラクターを理解した気分になるだけで、狭いイメージに固定されたり、誤解を与えてしまうようなデメリットもあると考えられます。

例えば、ご自身が所有され熟知している楽器のレビュー動画をご覧になって、「あれ、そんなんだっけ?」と違和感を持った経験はありませんか? 私はあります。 同じものを評価するにも、扱う人間によって視点や印象は異なってきます。異なっているから間違いなのではなく、それぞれが正解なのだと私は考えています。

【2】録音媒体の限界

録音に使用されるマイクや、スピーカーやヘッドホンなどの再生機器によっても、音の印象は大きく左右されます。収録時に私がどれだけ気をつけていても、再生環境の違いによって意図せず変化した情報を受け取られてしまう可能性があります。

「そんな厳密に考えなくても、スマホで録音して送ればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、実際に店頭でギターを試奏する際には、五感を総動員してわずかなサウンドの差異を感じて吟味されるはずです。それほどシビアな作業の代替として、簡単に録音された情報が十分役立つとは考えにくいのです。

【3】優先順位

動画や音声の提供依頼に対応していたら、他の仕事が進められないという人員と時間の都合もございます。

ギター購入の判断材料として、音声や動画は最優先ではないと考えており、他にすべき仕事に注力させて頂いております。


そのかわりに、私がお客様にお約束できることは、販売する1つ1つのギターが持つサウンドや演奏性を、最大限に発揮できる状態でご用意させて頂くことと、そのための労力を惜しまないことです。

ギターの真価は、セッティングによって大きく左右されますので、音声や動画で伝えられる何かよりも、はるかに重要であると考えております。

頭が固く融通が利かないと思われても仕方がありませんが、ご理解頂けましたら幸いです。

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